2017年7月5日水曜日

プロの大原則は強いこと  佐藤康光(日本将棋連会長、九段)

プロ棋士団体の会長へのインタビュー。対AI(人口知能)戦が中心ですが、最後に史上最年少にして公式戦29連勝を成し遂げた藤井聡太四段について語っています。

「歴代1位の連勝記録。四段になりたてで中学生です。同業者として私は信じられません。彼の出現で刺激を受けた棋士がほとんどです。より強くならなければいけないとかき立てられるほどレベルは上がります」

中学生棋士の驚異的な活躍に素直に驚きながらも、年齢でもなく経験でもなく、勝つことが、強いことがすべてというプロ棋士の世界を伝えている。一棋士としては、やはり負けられないのでしょう。


毎日新聞 2017年7月3日(月) 「そこが聞きたい AI時代の将棋界」

2017年7月2日日曜日

「私は、おっしゃるほど月並というのは悪くない、愛すべきものがあると思うんです」  宇多喜代子

《子規の彼方にー脱「月並」》と題されたシンポジウムで、「今日的に見て、月並俳句と思われる二句」という設問に自句を挙げた宇多さんは、自己反省の理由を述べつつ、月並俳句もけっして悪いものではないと続けます。

「俳句を愛好する人たちの中に、月並が一つの層をなしてあることは頼もしいことだと思う。その中から個性を持った非月並の句が歴史的に残っていくのかもしれないけれど、その分母としての月並は愛すべきものでしょう」

陳腐と切り捨てた自句も、宇多喜代子が俳人・宇多喜代子となっていくために必要な一句だったとも受け取れます。また一方で、嬉々と月並俳句の凡庸さを指摘する他のパネリストに向けて「あなたがたにもつまらない句があるでしょう」と問いかけているようにも思えるのですが、これはちょっとおもしろがりすぎかもしれません。

むしろ、歴史的な名句を残すことができないとしても俳句を作ることの楽しさを見つけた愛好家への温かい視点からのものと解するほうが、宇多さんらしいのでしょう。歳時記に掲載されるような句を賜わることは、多くの俳句愛好家にとってはまれなこと。ただ、そういった歴史的に残る句だけが俳句のすべてではないと言っているように思えるのです。

「俳句」7月号

母からの葉書白露の朝のこと 9月7日(土)

本当の母は同居しているので、母から葉書が届くことはない。いや、一緒に暮らしているからといって、葉書を出していけないわけではないので、届くこともあるかもしれない。でも、届いたとしたら何を伝えるためのものだろう。考えていたらちょっと怖くなってしまった。